ユーロを一から学ぼう

ヨーロッパの地域統合体EUと欧州統一通貨であるユーロについての基礎知識。

ユーロを一から学ぼう

ECとは

ECとはEuropean Communitiesの略称です。日本では「欧州共同体」と訳されます。当時の3共同体の運営をひとつにし、欧州の経済統合を目的として1967年に誕生した組織です。ヨーロッパ大陸では幾つもの国がお互いに国境を接しています。ヨーロッパの歴史は、民族の対立や侵略、戦争の繰り返しの歴史でした。ヨーロッパで生活するということは、自分の国と隣の国の間には国境の線しかなく、常に緊張を強いられるものでした。ヨーロッパの人々の「平和と安全」に対する想いや危機感の強さは、四方を海で囲まれた島国の日本とは、根本的に異なるものでしょう。
特に1914年から1918年にかけて戦われた第一次世界大戦ではヨーロッパが主戦場となりました。ヨーロッパの国土と経済は荒廃し、人々は疲弊しました。そんな中で不戦と平和に向けて、民族の対立を超えた「欧州統合」という提案がなされるようになりました。これは荒廃したヨーロッパの人々にとって、「希望の光」となった言葉でした。さらに第二次世界大戦後、世界は軍事的にも経済的にもアメリカとソ連の2つの大国によって二分されることとなり、ドイツは東西に分断されてしまいます。ヨーロッパはもう主役ではいられなくなったのです。それは、嘗ては古い歴史と伝統があり世界の中心であったはずのヨーロッパのプライドとしても、許せなかった事でもありました。人々の間でさらに「欧州統合」の機運は高まり、1946年に英国のウィンストン・チャーチルが、チューリッヒで「ヨーロッパ合衆国構想」を提唱しました。
国境地帯での石炭、鉄鋼の採掘をめぐって、ドイツとフランスの間では以前から対立が繰り返されていました。戦争の資源として必要だったからです。1950年にフランスの外務大臣シューマンによって、国家を超えた共同体でこの石炭・鉄鋼を共同管理するという提案がなされ(シュ−マン宣言)、1952年には「欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)」が設立されました。長い間繰り返されてきたドイツとフランスの対立に終止符を打ち、一致団結することでヨーロッパの再興をはかろうというものでした。欧州統合に向けての第一歩が踏み出されたのです。
1958年には経済統合を進める「欧州経済共同体」(EEC)、さらに原子力エネルギーの共同管理を進める「欧州原子力共同体」(EURATOM)が誕生しました。そしてECSCを含めるこの3つの共同体は1967年に運営機関がひとつになり、「欧州共同体(EC)」として改めてスタートすることになったのです。当初の加盟国はベルギー、ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルグ、オランダの6ヶ国でしたが、その後新たに、デンマーク、アイルランド、イギリス、ギリシャ、スペイン、ポルトガルが加盟し、1986年までに12ヶ国に拡大しました。
EC設立後、世界的な金融恐慌などが起こり、欧州経済も混乱しました。ECは経済の統合を目的に設立されましたが、経済も軍事力も強大なアメリカに対抗し、ドルに影響されないようにするには経済面だけではなくさらに大きな機構が必要なのではないかという議論が高まり、1993年にはECを母体としたEU(欧州連合)が誕生することになったのです。