ユーロを一から学ぼう

ヨーロッパの地域統合体EUと欧州統一通貨であるユーロについての基礎知識。

ユーロを一から学ぼう

EUとは

EUとは「European Union」の略字で、日本語では「欧州連合」と訳され、欧州連合条約により設立されたヨーロッパの地域統合体のことです。現在では28ヶ国が加盟しています。EUの母体は欧州経済共同体(EC)です。しかし経済面だけの統合体ではアメリカなど大国に対するには弱い、通貨を統合し政治や司法なども協力してさらに大きな統合された機構が必要であろう、という議論がしだいに深まってきたのです。1993年には正式に「マーストリヒト条約」として調印されて欧州連合「EU」が誕生しました。2002年1月1日には統一通貨であるユーロの紙幣と硬貨の流通が開始され、「EU市民」としての生活が始まったのです。
ある国がEU加盟を希望する際には、加盟に適しているかどうかを判断する基準として、「コペンハーゲン基準」という基準に照らし合わせて判断されます。民主的な統治を行っているか、法による決定がなされているか、人権の保護や、マイノリティの尊重を確保しているか、市場経済が機能する体制を有しているか、欧州連合の義務と目的を受け入れることができるのか、などが加盟基準とされます。これらの基準をクリアできていなければ、希望してもEUに加盟することはできません。この加盟基準は1993年6月のデンマーク・コペンハーゲンでの欧州理事会において決定されたため、「コペンハーゲン基準」と呼ばれています。
2004年に基本条約である「欧州憲法条約」が調印されましたが、「個別の加盟国の主権が脅かされるのではないか」という不安感をもつ人々が多くなり、2005年にはフランスやオランダで条約を批准するかどうかの国民投票が行われました。その結果、批准に反対するという声が多かったのです。この事態を受けて「熟慮期間」が必要とされ、ヨーロッパ統合の過程は一時的に停止しました。
この欧州統合という「歴史的な大実験」は、各国の思惑もあって順調に進んできたわけではありませんでした。その後も様々な試行錯誤と改革が議論されながら、2007年に欧州理事会によって新条約の改定が提案されました。2009年当時のEU理事会議長国ポルトガルの首都リスボンで、新しい改革が加えられた基本条約が全加盟国によって調印され(リスボン条約)、現在にいたっています。例えばこれによってEU加盟国の首脳会議である欧州理事会の「常任議長」が任命されることになりました。欧州理事会にはこれまでも議長がいましたが、常任ではなく、EU加盟国の首脳が半年交替で就任していたため、その首脳の思惑よってEUの重点課題が半年ごとに替わったりと、いろいろな課題が指摘されていたのです。
EUの機関には、民主的に直接普通選挙によって選ばれた議員による「欧州議会」があり、EU加盟国の市民5億人を代表し、EUの政策実施のための検討を行います。また欧州理事会は加盟国の国家元首または政府首脳、および欧州理事会議長と欧州委員会委員長で構成され、EUの全体的な政治目標と優先課題を決定します。リスボン条約は欧州理事会をEUの最高意思決定機関と定めています。その常任議長は「EUの大統領」ともいわれ、国際的にEUを代表する立場となります。その他非政治的な機関として欧州中央銀行制度(ESCB)やEUの司法機関である欧州裁判所があります。
ユーロを導入する国も今年で18ヶ国となりました。しかし通貨と中央銀行は一つなのに国情や財政状況が国ごとに異なっているということは、ユーロ圏の不安材料として通貨統合の当初から問題視されていました。また、そもそも競争力に大きな差がある国同士が同じ通貨を使うことに無理がある、との声はいまだに少なくありません。